2019.02.26
歯周病の話しの続きです。
歯を失う原因の第1位は歯周病です。むし歯にならないように、なったとしても出来るだけ抜かないように、近年こんな治療が進むなかで、私たちはどのように歯周病に向き合っていったら良いのでしょうか。
年をとって歯がなくなるのは老化現象だから仕方がない、と考えるのは間違いだと思っています。それは歯を失う原因のほとんどがむし歯や歯周病によるものだからです。歯周病は歯を失う原因の42%でトップ、むし歯が32%で、合わせて74%にも達しています。
人々の口腔衛生意識の高まりと、「できるだけ歯を抜かない治療」という歯科医療の流れを考えるとき、今後歯を失う原因としてのむし歯の割合は減っていくものと考えられます。
これに対して、歯周病は歯周組織が破壊され、最終的には歯が抜け落ちる疾患であり、また幅広い年齢層が高い割合で罹患していることを考えたとき、今後も歯の喪失の原因のトップであり続けるものと考えられます。
今までは40歳代以降に多いとされてきた歯周病ですが、10〜14歳でも歯周病の罹患率が約50%と、最近は若い人たちにも歯周病の方が増えています。お口にある永久歯の歯周病罹患率が80%に達すると、それ以降は限りなく100%に近づいていきます。
加齢とともに歯の数は減っていきますが、残っている歯の歯周病罹患率は上昇し、80歳以降の年代では、残っている歯のほとんどは歯周病という結果になっています。
歯をみがくと血が出る、口臭がひどい、そしてある日突然歯がグラグラしてくる、などどれも歯周病の典型的な症状です。歯周病の原因はどのようなものなのか、また歯周病はどのように進行していくのでしょうか。
歯周病は、通常、歯を支えている歯肉や歯槽骨などの歯周組織が慢性的な炎症で破壊される病気で、末期には支えを失った歯が抜け落ちてしまします。炎症を起こす原因は何でしょう。口腔内には500から700種類の細菌が生息しており、みがき残しが蓄積すると、歯の表面や、歯と歯肉の境目に細菌が付着します。細菌は増殖して白〜淡白色の歯垢を作ります。これがバイオフォルムで、歯周病はこのバイオフォルムによる感染症です。口腔内バイオフォルムには、歯の表面(歯肉縁より上)のバイオフォルムと、歯と歯肉の境目の歯肉溝(歯肉縁とり下)のバイオフォルムとがあります。歯周病菌は酸素を嫌うため、歯肉縁より下のバイオフォルムに生息しています。このバイオフォルムが歯周病の進行に大きく関与している訳です。とても怖いバイオフォルムの話しをして行きます。
投稿者:さくら歯科クリニック