歯の豆知識

成田市の歯医者、さくら歯科クリニックのブログ7

2019.01.23

全身の病気とお口の健康についての続きです。今回は、口腔ケアががん治療の質を高め、円滑ながん治療には欠かせないという内容です。 安全で苦痛の少ない、より良いがん治療やおだやかな療養生活を実現する一助として、口腔ケアが注目されています。がん患者の口腔を健全に保ことで、しっかりと食べて体力を維持し、口腔細菌による感染症のリスクを下げ、がん治療による口腔合併症のリスクを軽減することができます。 がん治療中には、口腔に関連する副作用・合併症も頻繁に出現して患者を苦しめます。口腔合併症は経口摂取の問題に直結し、この対策を怠ることは、がん患者の療養生活の質を下げ、治療を苦しいものにしてしまうだけでなく、円滑ながん治療の大きな妨げとなって、時に治療効果にも悪影響を及ぼす可能性があります。 近年、口腔合併症の発症頻度やその重症度は、口腔内細菌による影響が少なからず関与していることが知られてきています。 口腔内の衛生状態を良好な状態に維持し、口腔の機能を健全に保つよう維持・管理する「口腔ケア」が、口腔合併症の重症化を抑え、症状を緩和・軽減してがん治療の療養生活の質を高め、円滑ながん治療の支援となります。 がん治療中の口腔合併症のリスクを下げるために、がんの治療開始前に歯科を受診し口の中を清潔にして、感染症など口腔のトラブルが起きにくいようあらかじめ備えておくこと、がん治療中は歯みがきを中心としたセルフケアで口腔内の清潔管理を継続することが推奨されます。 がんの外科手術の前後に口腔ケアを行うことによって、術後肺炎のリスク軽減、気管挿管時のリスク軽減(歯の破折、脱落など)、口腔咽頭、食道手術における術後合併症のリスク軽減が期待出来ます。 外科病棟に入院した患者約3000人を対象とした研究では、手術の前に術後肺炎予防プログラム(呼吸器リハビリと口腔ケア)を実施することにより、術後肺炎の発症頻度を1/4に減少させました。また、頭頸部進行がん手術の患者を対象にした、術前からの口腔ケア施行群56人と口腔ケア非施行群35人の術後合併症についての介入比較研究では、口腔ケア介入が術後合併症の発症リスクを1/7にさげました。 予想される口腔合併症のリスクを考慮した口腔ケアを治療開始前から行うことで、がん治療中の感染管理、経口摂食支援、疼痛緩和を図り、療養生活の苦痛が少なくなるよう援助して、がん治療の完逐を支援することで治療予後にも貢献します。

投稿者:さくら歯科クリニック

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